化学肥料を使った栽培と有機栽培
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農研機構のツイートで植物の栄養についてのおもしろい記事があったので書いてみました。
リービッヒの無機栄養説と土壌肥料学https://t.co/ulekD8ogOo
リービッヒは無機栄養説を提唱したが、一方で、農業における物質循環の重要性を認め、有機農業的な考え方も重視した。江戸時代の日本の農業を循環型農業として高く評価した。 pic.twitter.com/ZEHAc8k8lT— 農研機構 農業環境変動研究センター (@niaes) October 17, 2018
このツイートの引用によーく知っている先生の著書がありました。知らなかったから一つためになった(笑)
1840年ごろの植物の栄養説大論争!
人間の場合、お金が許せば今日は肉がいいな、いや、刺身か? と好きなものを選べますが、植物は毎日、何も言わずに生きていますよね。
植物は何を食べて栄養にしているのか? 今は分かっていますが、1820年ごろはまだ解明されていませんでした。
このころは、「植物は腐植(主に有機物)を吸収している。」とする腐植栄養説が主流でしたが、リービッヒが「無機物(化成肥料の成分と同じ感じ)を吸収している。」という無機栄養説を唱えたことで大論争に発展したようです。最後は感情論的な言い合いになったそう。研究者も人間なんですよね!
結局、水耕栽培で無機物だけで栽培してみせて、無機栄養説の勝利となったわけです。
現代の植物工場ができているのは無機栄養を吸収しているからなんですよね。
現代農業における有機栽培vs化成栽培
近年まれにみる有機栽培とは、どういう栽培なのでしょうか?
一部の人は、有機物が植物に吸収されて植物は成長すると考えているかもしれませんが、これは1840年代に否定されていますね。
有機物が植物に吸収されるには ”分解” という過程が必要で、この役割を土壌中の微生物が果たしてくれます。めでたく微生物によって分解された有機物は無機物となり、植物に利用されるのです。
しかし、有機肥料の減量の種類(米ぬか、牛糞、豚糞・・・etc)はバラバラだし、有機物に含まれる無機成分が植物に適した比率で入っていることはぼぼありませんので、植物は栄養不良になってしまいます。
これが有機栽培が難しいと言われる所以の一つです。(うまくやっているところもありますよ)
では、有機物を畑に入れても意味はないか、と言われると、そんなことはありません。
有機物は畑の中で腐植となり、水はけが良く水持ちがいい、ふっくらした土を作ってくれます。
こういう土では、植物の根が良く育ち、いろいろな微生物がいるおかげで病気にもなりにくいという利点が出てきます。
つまり、化成肥料は植物に必要な栄養分”だけ”を入れる役割を持ち、有機物は生育に必要な環境を作ってくれるんです。
両方をバランスよく使うと、最高の作物ができると思いますよ!
研究者達の意見は・・・
実は、現代の研究者の間でも植物が有機物を吸収するか、まだ議論の最中なんです。
確かに、ニンジンの栽培時に有機肥料を入れると良く育ちます。このことから有機物が吸収されているに違いない!となっているようです。
ただ、いろいろな研究結果を見ても
「ニンジンが有機物を吸収して、その効果でニンジンが大きく育っている」
ことをちゃんと示した論文はありません。
ちょっと入ってるやろ!ってデータはありますが、その有機物をニンジンが吸収したのか、手違いで入っちゃったのか、根の表面にくっついているだけなのか不明なんです。そして入っている量が少なすぎて生育に影響を与える量ではないから、吸収しているとは言えない!という反論にも応えられていない状況です。
こういう議論を超えて、科学は進んでいくんですね~(笑)