有機野菜は栄養価が高い?
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栄養価って何?
栄養って何でしょう? 研究をするのに、栄養価が何を指すのかによって分析する物質が変わってきます。
食品の栄養としての価値。たんぱく質・脂肪・炭水化物・ビタミン・無機物質・繊維質などの成分の質と量によって表すが、消化吸収率に左右される。
栄養成分をざーっと調べて比較している論文を探せば良さそうですね。
関連する論文を発見!
ざっと見ていきましょう~。
論文1
栽培条件(有機栽培と慣行栽培)の違いによる野菜栄養成分の比較[I]
この論文の結論は、有機栽培でも化成肥料での栽培でも、栄養成分に違いはないよー。ということです。
実験はH14年はレタス、コマツナ、ホウレンソウ、H15年はコマツナ、ホウレンソウを用いて行っています(下の図を参照)。
有機栽培と慣行栽培の畑が遠すぎると環境が変わりすぎてしまうので、なるべく隣で試験を行っています。こういうやり方はデータの信憑性が高くなります。
成分の分析データはpdfにびっしり載っているので、そちらを見て頂いたほうがいいと思います。
1つ表を取り出して、どうやって見るのかをお示しします。
基本的に、比較は赤のハイライト部分を成分ごとに比較します。標準偏差はこれぐらいは変動する(誤差)と捉えてください。
変動幅が重なるようだったら基本的には差はないと考えて問題ないです。(厳密にやる場合は有意差検定という統計的手法を用いて差があるかを算出します。)
たったこれだけです。論文も意外と簡単でしょ?(笑)
どのデータを見ても同じような値ばかりですね。一部、β-カロテンなどに差はありそうですが、筆者たちは栽培条件よりも生育段階による違いだろうと述べています。
その根拠は2001年の論文でβ-カロテンの量が変動する要因は、生育段階>紫外線の強さ>カリ肥料・品種・浸透圧>窒素肥料>被覆 の順に強いという結果を出しています。しかも変動幅は1.2~1.7倍も変化するようで、こうなると栽培方法が違うからだ~とは言えないですね。
論文2
Are Organic Foods Safer or Healthier Than Conventional Alternatives?: A Systematic Review
この論文は1966年1月から2011年5月までの過去40年間に報告された240の論文を解析して、有機野菜+肉の栄養価、人類への影響を考察した論文です。
結論としては、有機食品(野菜+肉)の栄養価は従来の栽培法(慣行農法)で作った野菜とほぼ同じ。
筆者が要約で述べている点としては、
- 残留農薬は慣行農法で作られた作物の37%、有機栽培で作られた作物の7%から検出されたが、どちらも基準値以下であった。
- 有機栽培で作られた作物にはリンが多く含まれていた。健康に何も影響はない。
- 有機栽培で作られた作物にはポリフェノールが多い傾向があったが、ばらつきが大きく本当に多いかはわからない。
とされています。
ここでは栄養についてなので、農薬については別ページで解説していきますね。あと、ポリフェノールは栄養というよりは抗酸化物質としての方がしっくりきますので、そちらで。
リンは必須元素ではあるのですが有機野菜で取らなくても十分量取れているので、不足していることはないです。
食べても効果はないですね。
まとめ
これらの論文から、有機野菜の栄養価が慣行栽培の野菜より高いとは言えないことがわかりました。
まだ有機栽培の情報が少ないときに有機栽培の方が栄養価が高いという情報が出回ったのかもしれませんね。
栄養を求めて高価な有機野菜を買うことは経済を回す以外に意味はありません。
ではまた。